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痴漢冤罪が無くならない国の福田財務事務次官

最初に言っておくが、私は「福田財務事務次官は冤罪被害者だ」と主張しているわけではない。あくまで「セクハラ発言と決めつけるのは早計ではないか。別な可能性もあるのではないか」と言うだけだ。

今後、様々な証拠が出てきて、状況が詳らかになるにつれ、「やはりセクハラ発言はあった」という結論になる可能性は十分ある。あるけれど、法治国家においては、まず「推定無罪」が大原則なのである。残念ながら、佐々木亮弁護士は、推定無罪の大原則について、あまりご存知ないようだけれど。

 

重要なのは、この「セクハラ発言を受けた」という女性が、この発言を言われた時に、どういう立場で福田事務次官に接していたかということだ。

 

一部に「飲み屋に突撃取材みたいな形だったなら、セクハラ発言も仕方ないだろう」という意見もあるが、聞き手が「記者」だったり「一般の女性」であるならば、場がどこであれ、このような発言が許されないのは当然だ。

 

しかし、仮に、この女性が「セクキャバ」や「おっぱいパブ」「風俗店」などで働く女性、つまり「風俗嬢」で、その店の「客」として来た福田事務次官との会話を録音したものだったら、話は全く違った色を帯びることになる。

 

なぜなら、福田次官は「職務上の秘密は明かさないよ。それより仕事してくんない?」という、ごく当然のことしか言ってないことになるからだ。むしろ、安易にハニートラップに引っかからなかった姿勢を讃えたって良いくらいの状況だ(笑)(もちろん、特に女性を中心に、こういう風俗店に行くことに嫌悪感を持つ人もいるだろうが、それは別の問題である)。

 

言われた女性は、もしかすると、本当に本業は記者なのかもしれない。しかし、バイトであるにせよ、潜入取材であるにせよ、仮に「風俗嬢」の立場として、「風俗店の客」である福田事務次官に接していたのであるならば、こういう発言があることは何ら不思議ではない。そういう場なのだから。

 

繰り返すが、私は上記のようなストーリーだと決めつけをするつもりはない。むしろ逆に、現在、報道されている内容だけで「セクハラだ」と決めつける報道に、「まだ分からないでしょ。他の可能性もあるでしょ」と苦言を呈している。そこを間違えないで頂きたい。

決めつけを行う人間は、その決めつけを否定されると、大抵、逆の決めつけをしていると思い込むから面倒だ(笑)。

 

男女平等と言われて久しい。しかしながら、痴漢冤罪の話を見ても、いまだに「女性はか弱き存在で、女性が性被害を訴えた時は、嘘など一切つくはずがなく、女性の訴えはすべて事実と認めるべきだ」という考えがまかり通っているように思う。これは男性に対する人権侵害ではないのか。

確かに性被害における女性の立場は弱い。一種の「ハンデ」を男性側に負わせる合理性はあるだろう。だが、女性の言うことは何の検証もなしに100%認め、男性の主張は全て嘘だと決めつけることが許されるわけがない。

まして、今回は被害女性は「記者」として「職務に従事する立場で福田次官に接した」と主張しているのだから、男女平等の考え方からすれば、そこまで大きな「ハンデ」を認める必要もないだろう。

 

上記のような「可能性」の有る/無しの立証責任が、福田次官側にあるのか、女性・マスコミ側にあるのかは微妙なところだ。財務省側も、ただ「名乗り出ろ」というだけでなく、自ら無罪を主張できる証拠を探すべきではある。「証拠が出せないなら、福田は無罪だ」的な態度が許されるわけもない。とは言え、逆も然り。福田次官にも人権はあり、法治国家の原則は「推定無罪」なのだ。

 

この記事の御仁も、人権派弁護士を自負するなら、そういう男性側の人権の重さに、無神経・無頓着であることは許されないはずだ。

 

news.yahoo.co.jp