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有権者への感謝を忘れた橋下徹の政治家生命は尽きたか

世間(の一部)を騒がせている、丸山議員と、橋下氏・松井知事のバトル。丸山氏は離党ということで、これは極めてスジを通した判断だろう。

headlines.yahoo.co.jp

 

そもそも、本件、「丸山氏の口のきき方が悪かった」という情報操作に惑わされている者が多いが、時系列的に見れば、それは一切の嘘であることが分かる。マスコミも率先して、そういう情報操作に加担しているが、よほど橋下氏が怖いのか、橋下氏を持ち上げる方が都合が良いのか、どちらかだろう。

 

時系列的に見よう。最初は10月24日 20:23 の投稿だ。

 

 

ここまでの発言、何か問題だろうか?

党の勢いが衰えていることを支持者たちに詫びるとともに、党の勢いを取り戻すために、現状の把握・反省・総括を行おうという提案だ。代表選を提案してはいるが、けして元民進党・希望の党がやっているような「責任のなすりつけ、代表下ろし」ではない。あくまで松井氏の信を問おうということだ。信を問うて、信任を得れば(たぶん得るだろう)、松井氏の続投にはむしろプラスになる提案ではないか。

しかも実は、維新の党の党規約では、選挙後は代表選をやるルールらしい。その意味でも、丸山氏の発言に一切の問題はない。

言葉遣いも丁寧で、何の問題もない。100%の正論だ。

 

ところが、数時間後25日の3:23に突然丸山氏はこうつぶやく。

なるほど、確かに大阪弁でお茶らけた口調ではあるかもしれない。しかし、これが失礼という程のものだろうか? まして、言っている内容は「他党に厳しく、自分の党には甘いのはダメ」という正論100%だ。

ところが、それに対して橋下氏は10月25日12:22にこうツイートする。

 

 

こんなもの、完全に丸山議員や他の日本維新の会の議員に対する脅迫・パワハラではないか。おそらく橋下氏は、元民進希望の党で、小池氏に対する侮辱や追い出しの動きが出ていたために、丸山氏の何てことはない正論を、「丸山が松井や俺を侮辱している、俺たちを追い出そうとしてる」と勘違いしてヒステリーを起こしたのだろう(笑)。丸山氏にそんな意図は全くないのに、だ。

 

橋下氏は「松井代表があんなに頑張って丸山を当選させているのに、代表にお疲れ様の言葉もないのか」という趣旨のことを言っているが、これも勘違いも甚だしい。

丸山氏を当選させているのも、松井氏を当選させているのも、「維新」の看板・政策に期待してくれている有権者だ。まず、感謝するべきは支持者・有権者だろう。

そう考える時、「自党の発言力が落ちたことを支持者に詫び、再度党が勢いを取り戻すために必要なことを考え提案する人間」と「お前を当選させてやったんだから俺たちに感謝しろ」という人間と、どちらが正しい感謝をしている人間であるかは明らかだ。

まず最初にやるべきは、支持者や党員に対して、やるべきこと…つまり総括・反省…をすることだ。「支持者や党員より先に、党の代表のご機嫌を窺うべき」とか、橋下氏がいかに有権者を軽視し馬鹿にしてるかが分かる発言だ。

そもそも「松井氏が苦労している」というが、選挙や党の政策を通すために苦労するのが党代表の仕事だろう。苦労するのが当たり前だ。

 

というように、丸山氏が訴えていることは100%正論であり、橋下・松井両氏には理は1%もない。では、例の夜中のツイートがお茶らけていたのは無礼なのだろうか?

 

問題は、最初のツイートの7時間後に、なぜあんな言い方をしたのか、だ。ポイントは唐突に「丸山も次4期目とかどうでもええ話、大阪と日本がよーなるかどうかが全て」と出てくる点だ。

 

あくまで想像だが、最初のツイートに対して、党内の誰かから「若造が生意気なことを言うな、黙れ」というような叱責・圧力が飛んだのではなかろうか。しかも「次4期目」ということは、「公認」をちらつかすようなパワハラ的な内容で。もちろん、圧力の元は、橋下氏や松井氏とは限らない。党の幹部かもしれないし、支持者かもしれないが。

 

彼は無私の心で、あくまで党のためを思って、正論を言った。だが、それを「思い上がり、松井氏に対する侮辱」と取られた。それは悔しいし不本意だったろう。かつ、パワハラ的に叱責されるだけならまだしも、自分の正論まで却下されたら納得はいかないだろう。かと言って、再度同じような主張を書けば、さらに怒りを買ってしまう。

 

だからおどけた口調で「どう考えても維新は総括と代表選が必要。若造に言われんでも代表は言うだけの人ちゃうし、ちゃんとやりまっせですね」と必死に釘を刺した…と考えれば、全ての辻褄が合うのではなかろうか。

 

結局「言い方が無礼」など後づけの言い訳で、単に「下っ端の若造のカスが俺に偉そうなことを言うのが気に食わない」「お前を当選させてやってるのは俺たちだ」というだけの話なのである。

 

今回の件、正しく分析されるほどに、橋下氏の政治家生命は絶たれていくだろう(ま、本人はそれを何とも思わないだろうが)。

 

橋下さんが人気の理由、そして改革者たれた理由は、『目上だろうが年上だろうが権力者だろうが「正しいことを言って何が悪い。礼儀より正義」』だったからだ。

そして、それを「維新」を看板に掲げる党の文化・存在意義としてきた。権力者・目上・上役にも媚びない臆さないで正しいことを言うから「維新の党」なのだ。そういう考えを持つ人が、維新や橋下氏を支持してきたわけだ。

ツイッターが云々、無礼が云々を言い出したら、橋下氏は一切他人のことなど批判できるわけがない。彼ほど、ツイッターでも現場でも、無礼構わず正論を吐いてきた人間はいないからだ。それでも、彼が正しいと思うから、世論は彼を支持した。

 

ところが今回の橋下氏の発言は、自ら維新の文化や存在意義を破壊するものだ。「自由闊達」をブランド価値とする党で組織としての正常かつ民主的な運営を提案した丸山さんを、橋下氏は汚い言葉で罵って独裁政権みたいなことを主張してしまった。

結局、橋下氏の正体というのは「自分が正しいことを主張する時は、目上だろうが平気で無礼な態度を取ることを正当化するが、自分の部下が同じことをするとパワハラまがいなやり方でキレる」だということが明らかになってしまった。「自由闊達に正しいことを求める」なんて、単に口先だけの嘘であることがバレてしまった。

今回の丸山氏の一件で、「維新の看板はマヤカシであり、橋下・松井両氏に対して一言でも意見したら、パワハラや中傷に遭う。そんな独裁的で独善的な党である」とバレて、果たして次の選挙でどれだけの有権者が彼らを支持するだろうか?